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ほとんどのすし店の店主は、事業主であると同時に現場をを支える中心的働き手です。彼等はみな修業と経験を積んだすぐれた職人で、多かれ少なかれ職人気質を持っています。職人気質はそれ自体評価すべきものですが、問題は、職人気質と経営者的発想はしばしば両立しないということにあります。
たとえば、職人気質は自分の価値観に忠実で、顧客の要望を受け入れようとしない傾向があります。ある老舗の職人気質の強い店主は、味に注文を付けた客に「文句があるならくるな」とうそぶいたそうです。そのような姿勢が通用する営業もあり得るとは思いますが、一般のお店としてはどうでしょうか。店主の職人気質のこだわりが、評価を得ている場合もありますが、逆に顧客の足を遠ざけている場合も少なくありません。
職人気質が経済性と両立しないこともよくあります。すし店の営業はすし種の良し悪しだけではなく、すし職人の腕、店内の雰囲気、サービスのあり方、土地柄、施設・設備・食器類の質と趣味、インテリアの質など、営業の清潔・衛生感など、沢山の要因のバランスで決まります。店主の職人気質がすしだけにこだわっても、料金や売上、あるいは客数など店としての成果につながるとは限りません。店主は、職人である前に経営者でなければならないということです。
古い世代の店主に見られる職人気質は修業とか経験を重んじる反面、研究や学習などには、あまり重きを置かない傾向があります。そのため、自ら時代の変化を学んだり、組合その他から提供される情報を消化して、自分の営業の改良に役立てることは不得手です。この点の改善をシニアの世代に求めるのは難しいかもしれません。しかしすし業界も、徐々に、高等教育を受けた知性派の、新しい世代に移行しつつありますので、本ビジョンに基づく行動計画の実践や、今後の業界の展開には大いに期待できます。
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